マイルCSへ照準 データ分析で「前走GⅡ以上3着以内」馬が浮上 傾向は明確も“データ信仰”に警鐘

秋のマイル王決定戦・マイルチャンピオンシップ(GⅠ)に向け、過去10年のレースデータから「前走GⅡ以上・3着以内」という条件を満たした馬が、複勝率・回収率の両面で高い数字を残していることが明らかになった。特に複勝率においては他の条件群を大きく上回る傾向が見られ、実績・格・近走内容を兼ね備えた馬が結果へ直結しやすい構造が浮き彫りとなっている。

この条件は、単なる戦績だけでなく「直近でレベルの高いレースを確実に走れているか」という指標を含む点が特徴で、叩き2戦目・上がり重点調整・仕上げ途上などに左右されにくい点が注目材料とされる。国内トップクラスの短距離〜マイル路線は層が厚く、前哨戦から高負荷の競走経験を積んでいる馬ほど、そのまま頂点争いに移行しやすいと考えられている。

一方で、データ偏重への警告も根強い。マイルチャンピオンシップは京都・阪神開催の年によってコース特性が変化し、さらにペース形成・風向き・馬場水分量・直線入口までの隊列密度によって、展開が大きく揺れるとされる。関係者の間では「統計的には強調できる条件だが、再現性を担保するためには“当日の気配”が必須」との意見も多く、肌感覚とデータの合致が鍵とされる。

脚質面では、例年やや先行有利のイメージがあるものの、近年は中団〜外差しの決着も見られ、展開読みは複雑化している。時計勝負になるか、体力勝負になるか、あるいは馬群を割り切れる精神的強さが問われるか――各馬が直線でどのコースを選ぶかが勝敗を分ける可能性も高い。

なお、分析班の一部からは「前走好走組の優位性は“能力値の底上げ”というより、調整過程のスムーズさが背景にあるのでは」との解釈も提示されている。過度な評価を避け、データを“判断の土台”として活用する姿勢が求められるだろう。